前立腺がんの友人が小線源治療をはじめた。
前立腺がんの友人が小線源治療をはじめた。
去年の秋から、PSA値が高いと心配していた前立腺がんの友人が
とうとう、前立腺へ小線源のカプセルを埋め込んだらしい。
数日入院し、退院後1ヶ月になると言っていたが
秋頃の鬱いだ雰囲気も取れ、新宿居酒屋で楽しく大酒を飲んだ。
酒を飲んでも飲まなくても年寄りは病気の話が好きだ。
やはり年取ると若者と異い、健康が気になるのだ。
「それで、どうなの」
「ちょっと夜中、オシッコが出づらい」
「前立腺に埋め込んだヨウ素の放射線が効いているためかも」
そして
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
2時間ほど飲んでる間に数回トイレへ行ったが、
ちょっとちか過ぎだ。
「それで、その後どうなの?」
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「いや〜、埋め込んで3ヶ月くらいが一番辛いと先生が言っていた」
「で、下がったのPSA値?」
「まだ解らないけど放射能?は効いてると思う」
「ところでそっちは、どうなのPSA値?」と逆に聞かれる。
「先日、前回の検査から3ヶ月経ったので調べたら0.5くらい下がったよ。
また3ヶ月間、様子見だって。PSA値は10.5くらいになったんだ」
「10.5?えっ!そんなに高いの?」
「たいしたことないだろ。前回は11.いくつだったのが下がったんだから」
「高いだろ!。10とか11だと、そりゃ高いよ!」と友人は驚く。
「じゃぁ、カプセル埋め込む前、君はPSA値はいくつだったの!」
「8・・・くらいだったと思うよ」と彼。
「えっ!その程度の数値なのに埋め込んだの?」
「でも、正常値は4以下だろ、8だと標準の倍だろ、だからやったんだ」
この友人はPSA値は「8」ぐらいだったが
生検でがんが発見されており小線源治療に踏み切ったようだ。
自分の場合、ストーマ(人工肛門)のため、生検が出来ない事情もあり
仮にPSA数値がこれ以上、上がっても手術は出来ない(しないといわれている)と
泌尿器科の先生に言われている。
続けて彼は言う。
「俺ね、小線源埋め込み手術しなくても良かったかな、と今は思っている」
「がんの進行速度をよ〜く観察してからでも良かったのかも」と言っていた。
「お互い、高齢だからな〜。のんびり様子見て、余命も考えた対処がいいかもな」
前立腺だ、血圧だ、糖尿だ。あの酒だ、甘口だ、やっぱり辛口だといいながらも
二時間ほどで日本酒を相当飲んだ。
「ちょっと、まってて」と、彼は再びトイレへ。
帰ってくると「カラオケ行こう」と言う。
「俺はこれで帰るよ」とお店は出たが・・・。
ストーマでパウチ着用の体になってからは
外で飲む時は先ず、ビール。
日本酒なら4本。
焼酎なら水割り5杯。
一応、この程度を目安にしている。
「カラオケで歌って帰ると酒が抜けていいんだよ」彼がいう。
「前立腺」と「糖尿」の話をしながら千鳥足でカラオケ店へ向かった。
家に帰り、小線源療法をネットで調べてみると・・・。
密封小線源療法、小線源永久挿入療法等といわれる前立腺がん治療法で
ヨウ素125を前立腺へ埋め込み、前立腺がんを直接やっつける、という治療法。
ヨウ素125は医療用に人工的につくられたもので
放出される放射線のエネルギーも非常に低量だそうだ。
また放射能が半分に減る時間(半減期)は約60日、
一年後には放射能はほとんど残らないという。
従って「小線源」は前立腺へ埋めっぱなしにするそうだ。
体にもまったく違和感も害もなく、先進医療らしい。
いずれにしても彼はPSA数値「ゼロ」を目ざしているわけで
名門病院での手術でも有り、きっと一年後には数値目標も達成できるだろう。
一方、自分の場合はストーマというハンデもあり
完治は望めないし望まない。だましだましでも
余命期間中に症状がでなきゃいいのでは・・・と考えている。
それにしても歳をとると、時の経つのが早い。
あっという間にやってくる、三ヶ月後のPSA検査の様子を見ることにしよう。
同じように、一年後もすぐにやってくるだろう。
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